米国株、国外財産調書は要る?
国外財産調書・財産債務調書を出す必要があるかの目安(12月31日の数字で判定)
この画面は、入れた数字を、国税庁と法令が公表している決まりに当てはめた目安です。相場の予測でも投資の助言でもありません。調書の作成や個別の判断はしません。迷う財産・個別の判断は税務署・税理士へ。
国外財産調書は、12月31日に国外にある財産が5,000万円を超える人が出します。国内の証券会社の口座で持っている米国株は、ふつうは国外財産に入りません(下の②)。①②だけで国外財産調書を判定します。財産債務調書は、所得と財産の総額で決まる別の調書で、国外財産が無い人も当たることがあります。③④も入れると、こちらも判定します。
② 12月31日に国外にある財産の合計(円)
- 入れる物: 国外にある銀行の支店・証券会社の営業所の口座にある預金・株・投信・債券、国外の不動産など。国外財産が無ければ 0 を入れます。
- 入れない物: 国内の証券会社の口座にある米国株・外国ETF。株などが国内か国外かは、国税庁の FAQ(問23)では「その口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等の所在により判定する」とされ、国内の営業所の口座なら外国の会社の株でも国内です。会社の名前が海外の会社でも、日本の営業所の口座なら国内です。逆に、国外の営業所の口座にある日本株は国外です。
- 外資系の会社の株(RSU・ストックオプションで受け取った株など)が国外の営業所の口座にあれば、その株は国外です。外国の会社のストックオプション・RSU の権利を持っている人は、価額の出し方の例が国外財産調書 FAQ 問24 にあります(12月31日の株価から1株の権利行使価額を引き、取得できる株数を掛ける例。ストックオプションは「その年の12月31日が権利行使可能期間内に存しないストックオプションに関する権利については、国外財産調書への記載を要しません」)。権利が国内か国外かで迷う人は、税務署・税理士で確かめてください。
- 国内の支店の外貨預金も入れません。国外財産調書 FAQ(問22)は「国内支店に開設した口座に預け入れている外貨預金については、国外財産調書への記載の対象にはなりません」と書いています。海外の取引所にある暗号資産も、居住者なら国外財産になりません(国外財産調書 FAQ 問36)。暗号資産は財産債務調書の財産には入ります(財産債務調書 FAQ 問38)。
- 額は12月31日の時価(上場株は12月31日の最終価格。無ければ、その前で最も近い日の最終価格)か見積価額です。不動産などの額の出し方は、国外財産調書 FAQ(問10から)に例があります。外貨は、取引先の金融機関が公表する12月31日の「最終の対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場(同日にこれらの相場がない場合には、同日前のこれらの相場のうち、同日に最も近い日のこれらの相場)」で円にします(問18)。下の計算欄を使えます。
- 借入れで買った財産でも、借入れを引きません(問39)。未決済の信用取引・デリバティブの権利も入り、含み損があればその分を通算します(問3)。
外貨を円にする計算欄(任意)
例: US$300,000 × 148.5 = 44,550,000円。外貨の額は小数2桁まで、TTB は小数4桁まで入れられます。1通貨あたりの TTB を入れます(金融機関が100通貨あたりで公表している時は100で割ります)。この欄の円は1円未満を切り捨てています。財産ごと・通貨ごとに計算して、②に足していけます。
③ その年の所得の合計(円・退職所得を除く)
- 収入ではなく所得です(給与なら、給与所得控除を引いた後の額)。基礎控除・社会保険料控除などの所得控除を引く前の額です(課税される所得金額ではありません)。
- 所得の合計がマイナスの時は 0 を入れます。
- 確定申告した株の譲渡益・配当(申告分離課税)は足します。上場株式の損の繰越控除などを受けている人は、控除の後の額です(国税庁 No.7457)。
- 足さない物: 退職所得、源泉分離課税の所得、申告しないことを選んだ配当・利子、源泉徴収ありの特定口座で申告しないことを選んだ譲渡益(財産債務調書 FAQ 問2)。
④ 12月31日の財産の総額と、そのうちの有価証券等(円)
- 総額は、債務(住宅ローン・借入れ)を引きません。国税庁は「財産の価額とは、財産の価額の総額をいい、財産の価額から債務の金額を差し引いた金額ではありません」と書いています。
- 総額には、②の国外財産も、国内の預金・不動産・株も、NISA の株・投信も入ります。
- 有価証券等は、国内の株も外国の株も入ります(財産債務調書 FAQ 問2 は「国内に所在するか国外に所在するかを問いません」)。未決済の信用取引・デリバティブの権利も入り、含み損があればその分を通算します(問3)。通算して有価証券等がマイナスになる時は 0 を入れます。
相続が始まった年(亡くなった方が亡くなった年)の分だけは、相続・遺贈で取得した財産を除いた額で②と④を入れて判定できます(国税庁 No.7456・7457)。除けるのは相続が始まった年の分だけで、遺産分割が済んでいなくても、翌年からの分では除けません(分割が済んでいなければ法定相続分で計算します。国外財産調書 FAQ 問16)。翌年からは含めます(国外財産調書 FAQ 問17・財産債務調書 FAQ 問18)。相続が始まった年でも、相続した物を除いた自分の国外財産が5,000万円を超えていれば、出さないと加算税が重くなることがあります(国外財産調書 FAQ 問40)。
見本: 居住者・国外財産 6,000万円・所得 2,500万円・財産の総額 3億2,000万円(有価証券等 1億5,000万円)
入れた数字は、このブラウザの中だけで判定します。保存も送信もしません。ページを閉じると消えます。
よくある思い違い
- 「米国株を5,000万円持っているから国外財産調書」→ 国内の営業所の口座で管理されている米国株は、国内の財産です(国外財産調書 FAQ 問23)。財産債務調書の財産・有価証券等には入ります。
- 「住宅ローンを引いた純資産で3億円・10億円」→ 債務は引きません(No.7457)。
- 「年の途中でいちばん多かった額で判定」→ 12月31日の額だけです。
- 「5,000万円ちょうどで国外財産調書」→ 5,000万円を「超える」時です。財産債務調書の3億円・1億円・10億円は「以上」です。
- 「申告しないことにした配当も所得2,000万円に足す」→ 足しません。確定申告した配当・譲渡益は足します。
- 「期限は確定申告と同じ3月15日」→ 令和5年分からは翌年6月30日です。
- 「国外財産調書を出したから財産債務調書は要らない」→ 両方の基準に当たれば両方出します。
この道具がしないこと
- 調書や合計表を作ること、財産の評価・円換算を代わりにすること、提出の代行はしません。
- 財産1つずつが国内か国外かの判定はしません。迷う財産は、国税庁の国外財産調書 FAQ(問6・問22・問23)で確かめるか、税務署・税理士へ。
- 非居住者の財産債務調書(所得の決まり)は判定しません。
- 2026年10月18日 時点の国税庁の資料(FAQ 令和8年8月版など)によります。法令に、令和9年以後に施行される改正の定めがありますが、この判定に関係するかは確かめていません。